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<相談の参考に!>流行を取り入れながら、長く続くコンセプトにするにはどうすればよいでしょうか?

相談投稿の参考として作成した相談例です

こちらをヒントにお気軽にご相談ください

※本記事の相談内容および相談背景は、参考としてキリンが作成した相談例です。実際にお客様から寄せられた相談ではありません。狩野さんの回答内容は実際のものです。


●相談内容(テーマ例)
「流行を取り入れながら、長く続くコンセプトにするにはどうすればよいでしょうか?」

開業する店のコンセプトを考えていますが、今人気の業態やメニューをどこまで取り入れるべきか悩んでいます。
お客様に興味を持ってもらうためには、SNSで話題になりやすい商品や、今のニーズに合った見せ方も必要だと思います。一方で、流行を追いすぎると、数年後には魅力がなくなったり、自分が本当にやりたかった店ではなくなったりするのではないかと不安です。
開業時のコンセプトを考える際、時代に合わせて変える部分と、長く変えない部分は、どのように分ければよいでしょうか。


●相談の背景

飲食店で働きながら、人気店や新しい業態を研究しています。話題になる店を見るたびに魅力を感じ、自分の計画にも取り入れたくなります。
しかし、調べるほど店の方向性が変わってしまい、最初に考えていたコンセプトが何だったのか分からなくなってきました。
開業時だけ注目される店ではなく、時間が経ってもお客様に選ばれる店を作りたいと考えています。


●先輩オーナー・狩野さんからの回答
「『核は変えず、表現は変えていく』という考え方がいいと思っています。」

狩野さん:ご質問ありがとうございます。

流行とコンセプトのバランス、悩ましいと思います。
結論、流行を取り入れること自体は、構わないと思っています。
ただ、流行を店の土台にするのではなくて、まずは「自分たちの店は何を大切にするのか」というブランドの軸をつくること。そのうえで、間口を広げるために、軸を崩さない形でトレンドを取り入れていく。この順番が大切です。

長く続く店というのは、何も変えない店ではありません。
私は、「核は変えず、表現は変えていく」という考え方がいいと思っています。

たとえば、なぜこの店をつくるのか、誰を幸せにしたいのか、お客様にどんな時間を届けたいのか、料理やサービスをつくるうえで何を大切にするのか、自分たちは何者なのか。
こういう部分は、その店の思想や存在意義にあたるので、長く変えないものです。


一方で、メニューや季節商品、盛り付けや提供方法、価格や量、SNSでの見せ方、予約や注文方法、内装や販促の表現、お客様とのコミュニケーション方法などは、時代に合わせて変えていっていい。

守るべきなのは「目的」であって、変えていくのは「手段」ということです。

コンセプトは、業態名だけではない

「イタリアン」「居酒屋」「発酵料理」「ナチュラルワイン」といった言葉は、業態やカテゴリーを表すものですが、それだけがコンセプトではありません。
コンセプトは、「誰に、どのような価値を、どのような方法で届ける店なのか」という、お客様との約束だと考えています。

たとえば、「地域の三世代が、安心しておいしい時間を過ごせる食堂」という約束が店の核にあるとします。そうすると、パスタが流行した時も、発酵料理が注目された時も、その約束に合う形であれば取り入れることができます。

反対に、店の約束と関係のない流行を入れると、一時的な話題にはなっても、ブランドは弱くなってしまいます。
なので、トレンドを見る時にも、流行っているという理由だけではなく、自分たちの店の軸とつながっているかを見る必要があります。

流行の商品ではなく、「なぜ支持されているか」を見る

流行を取り入れる時に、その商品をそのまま真似する必要はありません。
それよりも、「なぜ今これが支持されているのか」を考えることが大切です。

たとえば、ある料理が流行っているとしても、その背景にはいろいろな理由があります。
分かりやすい、写真で魅力が伝わる、健康意識に合っている、一人でも利用しやすい、体験として楽しい、専門性が感じられる、誰かに話したくなる。
こういった、今のお客様が求めているものが、その背景にあるかもしれません。

表面的な商品だけを真似するのではなくて、なぜ支持されているのかを読み取って、それを自分たちの料理やサービスに置き換えていく。
そういう取り入れ方であれば、自分たちの店らしさを保ちながらトレンドを活用できます。

自分たちらしいか、お客様が求めているか、続けられるか

新しい業態や商品を取り入れるか判断する時には、大きく三つの視点があります。
一つは、自分たちらしいか。自分の経験や技術、地域、食材、考え方と、そのトレンドがつながっているかを考えます。
二つ目は、自分たちのお客様に本当に必要とされているか。単に話題になっているというだけではなく、自店のお客様が本当に求めているのかを見る。
三つ目は、それを続けられるか。一時的な仕入れだったり、無理のあるオペレーションだったりすると、品質や利益を維持しながら続けていくことは難しくなります。

「自分たちらしい」
「お客様に必要とされている」
「続けられる」
この三つが重なるのであれば、その流行を取り入れることが、店の進化につながっていきます。
逆に、どれか一つしか当てはまらないのであれば、慎重に考えた方がいいと思います。

迷った時は、「何を残したいのか」に戻る

コンセプトが迷走してしまうのは、情報を集めすぎたことよりも、それを判断する基準が定まっていないことが原因です。

なので、迷った時には、一度自分の店の原点に戻って考えてみるといいです。
なぜ自分は、この店をやりたいのか。自分だから提供できるものは何なのか。どんなお客様に来てほしいのか。そのお客様に、どんな気持ちで帰ってほしいのか。10年後も守りたいものは何なのか。そして、「もしこの店が地域からなくなった時に、何を惜しまれたいのか」。
こうした問いへの答えが、流行を取り入れるかどうかを判断する軸になります。
まずブランドの土台をつくって、その軸を崩さない範囲でトレンドを取り入れていく。長く続くコンセプトを考えるうえでは、その考え方が大切だと思います。


※回答内容は、狩野さんがこれまで培ってこられたお店づくり・事業経営のご経験をもとに、今回のテーマを考えるうえでの視点としてお話しいただいたものです。実際に取り入れる際は、業態・立地・規模・運営体制など、ご自身のご状況に照らしてご検討ください。



プロフィール

株式会社和音人
代表取締役 狩野高光さん
東京都出身。中学卒業後、地元の焼鳥店、有名ベーカリー店での勤務を経て、都心でレストラン事業を展開する株式会社グローバルダイニングにアルバイトとして入社。高級店にて洗練された接客を学んだ後、将来の独立開業に向けて別業態での経験を積むため、恵比寿でスペインバルなどを展開する株式会社エルアンドエスに入社。店長や運営店舗の責任者を経験した後、開業に向けて独立。2015年2月、株式会社和音人(ワインビト)を設立し、代表取締役に就任。同年6月、三軒茶屋に「和音人 月山」を開業。現在、三軒茶屋にて「焼鳥 月山」、創作餃子と自然派ワインの店「GYOZA SHACK」、完全紹介制の「焼鳥 日和」、レストラン「Hikiniku ルパン」、ナチュラルアイスクリーム専門店「amehare」を運営。