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<相談の参考に!>売れ筋と利益を両立するメニュー構成は、どう考えればよいでしょうか?

相談投稿の参考として作成した相談例です

こちらをヒントにお気軽にご相談ください

※本記事の相談内容および相談背景は、参考としてキリンが作成した相談例です。実際にお客様から寄せられた相談ではありません。狩野さんの回答内容は実際のものです。


●相談内容(テーマ例)

「売れ筋と利益を両立するメニュー構成は、どう考えればよいでしょうか?」

開業する店のメニューを考えていますが、すべての料理で同じように利益を出そうとすると、価格が高くなったり、魅力の弱い構成になったりするのではないかと感じています。

お客様を呼ぶ看板商品、注文してもらいやすい定番商品、利益を確保する商品など、メニューごとに役割を分けたほうがよいのでしょうか。

また、フードとドリンクを含めて、店全体で利益を作るメニュー構成を考える際に、どのような点を見るべきか教えていただきたいです。


●相談の背景

自分が得意な料理や出したい料理を中心にメニュー案を作っていますが、お客様の注文の組み合わせや、店全体の収益までは想像できていません。

料理単体の原価だけでなく、注文される流れまで考えてメニューを設計したいです。


●先輩オーナー・狩野さんからの回答
「メニューは料理の一覧ではなくて、お客様の注文行動をつくる設計図として考えることも必要です。」

狩野さん:ご質問ありがとうございます。
メニュー構成を考えるの難しいですよね。
すべての商品で、同じように利益を出す必要はないと思っています。

一品ごとの原価率を揃えることよりも、それぞれの商品に役割を持たせて、最終的に一人のお客様、一組のお客様から、店全体として適正な利益をいただける状態をつくることが大切です。


たとえば、「この料理を食べたいから、この店に行く」と思ってもらえる看板商品があります。
こういう商品は、多少原価率が高くても、独自性があって来店する理由になるのであれば価値があります。ただし、売れれば売れるほど赤字になるような設計ではいけません。

一方で、初めてのお客様でも選びやすい定番商品も必要です。
奇抜さよりも、分かりやすさや安心感、価格への納得感があって、安定して注文される。
そういう商品が売上の土台になります。前菜や野菜料理、揚げ物、追加トッピング、デザート、ドリンクなど、比較的粗利益を確保しやすい商品もあります。

ただ、原価が安いからといって、それだけで利益商品になるわけではありません。
お客様に「頼みたい」と思ってもらう理由まで考える必要があります。

限定料理や季節商品、コース、ペアリングのように、店の世界観や技術、こだわりを伝える商品もあります。こういったものは、一品の利益だけではなく、客単価や満足度、口コミ、再来店まで含めて役割を考えていきます。
メニュー全体の中で、それぞれの商品が何のためにあるのかを考えることが必要です。

原価率だけではなく、粗利益額を見る
メニューを考える時に、原価率だけで判断しないことも大切です。
たとえば、売価1,000円で原価が300円の商品なら、原価率は30%で、粗利益は700円です。
一方、売価2,000円で原価が800円の商品なら、原価率は40%ですが、粗利益は1,200円になります。原価率だけを見ると後者の方が悪く見えますが、実際に店に残る粗利益額は後者の方が大きい。

なので、原価率だけではなく、一品あたりの粗利益額、注文数、仕込みや調理、提供に必要な時間や人件費まで見ていきます。

「よく売れて、粗利益額が高く、現場の負担が小さい商品」は、経営という視点では主力商品になります。

特に、仕込みにかかる「生産原価」は把握しておいた方がいいです。
食材の原価だけではなく、その商品をつくるためにどれくらいの時間と人件費がかかっているのか。そこまで含めて見ないと、実際に利益をつくれているかは分かりません。

一品ずつではなく、お客様の「注文の流れ」で考える
メニューは料理の一覧ではなくて、お客様の注文行動をつくる設計図として考えることも必要です。
たとえば居酒屋であれば、乾杯のドリンクがあって、すぐに出る前菜があって、看板商品、追加の一皿、締め、デザートや食後酒と続いていく。
看板商品だけがたくさん売れていても、それ一品で長時間滞在されると、店全体では利益が残りにくくなります。

なので、看板商品の前後で何を注文してもらうのかまで考えて、メニューを組み立てていきます。
料理とドリンクも、別々に考える必要はありません。
たとえば、スパイス料理にクラフトビールやオレンジワイン、餃子にビールやサワー、焼鳥に日本酒や焼酎、デザートにコーヒーや食後酒。

料理がドリンクを呼んで、ドリンクが次の料理につながるような構成を考えます。
ペアリングを提案したり、セットで分かりやすく見せたりすることも、注文につながります。
フードとドリンクを分けて考えるのではなく、一つの注文体験として設計するということです。

客単価から、一人のお客様の注文を具体的に考える
開業前には、目標とする客単価から、一人のお客様が何をどれくらい注文するのかを具体的に考えておくといいです。
たとえば、客単価5,000円を目指すのであれば、前菜が600円、看板商品が1,200円、主菜や追加料理が1,300円、ドリンク2杯で1,400円、締めやデザートで500円。

これで合計5,000円です。

「客単価5,000円を目指す」という数字だけではなく、何を何品注文してもらえばその金額になるのかまで考える。

そして、その注文が実際に起こりそうなメニュー構成になっているかを確認します。
ただ、メニューは開業した時点で完成ではありません。
開業後はABC分析なども使いながら、実際に何が注文されているのかを見ていきます。

来店したくなる商品、安心して注文できる商品、利益をつくる商品、記憶に残る商品。
開業前に考えていたそれぞれの役割と、実際のお客様の注文にどれくらい違いがあるのかを把握して、メニューをブラッシュアップしていきます。

料理人として「何を出したいか」を考えることはもちろん必要です。
そのうえで、お客様が「何を、どの順番で、どれくらい注文するのか」まで想像してみる。

開業後は、その想像と現実の距離を確認しながら修正していく。
そうやって少しずつ、「経営できるメニュー」にしていくことが大切だと思います。


※回答内容は、狩野さんがこれまで培ってこられたお店づくり・事業経営のご経験をもとに、今回のテーマを考えるうえでの視点としてお話しいただいたものです。実際に取り入れる際は、業態・立地・規模・運営体制など、ご自身のご状況に照らしてご検討ください。



プロフィール

株式会社和音人
代表取締役 狩野高光さん

東京都出身。中学卒業後、地元の焼鳥店、有名ベーカリー店での勤務を経て、都心でレストラン事業を展開する株式会社グローバルダイニングにアルバイトとして入社。高級店にて洗練された接客を学んだ後、将来の独立開業に向けて別業態での経験を積むため、恵比寿でスペインバルなどを展開する株式会社エルアンドエスに入社。店長や運営店舗の責任者を経験した後、開業に向けて独立。2015年2月、株式会社和音人(ワインビト)を設立し、代表取締役に就任。同年6月、三軒茶屋に「和音人 月山」を開業。現在、三軒茶屋にて「焼鳥 月山」、創作餃子と自然派ワインの店「GYOZA SHACK」、完全紹介制の「焼鳥 日和」、レストラン「Hikiniku ルパン」、ナチュラルアイスクリーム専門店「amehare」を運営。